チャコールグレー

チャコールグレーはソフトなブラック。頭に浮かぶのは杉本博司さんの劇場シリーズの写真です。 

世界各地の古い劇場を巡って撮影されたこのシリーズは一本の映画の始まりから終わりまでの時間、シャッターを開放して撮影されたモノクロの写真。劇場では通常歓声が沸き起こる「動」が常であるのにも関わらず、このシリーズはただ真っ白なスクリーンが煌々と暗がりに浮かんでいる。まるで見る側の想像力を試されているかの様にも思えます。 

”何かが始まる” その前に、時が止まってるかのような瞬間。この写真を見るたび「何が始まるのだろう」と考えさせられます。 何かの始まりと、その一瞬に湧く子供のような純粋な興奮。そんなことを思うとチャコールグレーもカラフルに見えてきます。 

アンセル・アダムズのカリフォルニア州ヨセミテ渓谷のモノクロ写真、ジャコメッティの直立像も想像できます。